「がん」と診断されたら仕事はやめざるをえないの?


こんにちは、しまづ@看護師ライター(@shimazu26)です。

今回は「がん」と診断されたときのお仕事との付き合い方についてお話していきます。

 

一生の内2人に1人が「がん」と診断され、3人に1人が「がん」で死亡する時代です。


働き盛りの世代も例外ではなく、健康診断や人間ドックで異常を指摘され、詳しく検査をしてみたら「がん」が見つかった、という事態も考えておかなければなりません。


実際、私の母親も40代で「がん」と診断され手術を行いました。

 

働き盛りの世代が「がん」と診断された時に直面する問題が、仕事をやめなければならないのかということでしょう。


結論からお伝えしますと、仕事は続けたほうが良いです。


「がん」の治療において、会社員であることが金銭面、精神面において非常に有利に働くからです。

 

しかし、いざ自分が「がん」だと診断されると頭が真っ白になって冷静な判断ができないこともありえますよね。


今回は「がん」と診断された時に仕事とどう付き合っていくべきかをまとめましたので、ぜひあなたやあなたの大切な人のために頭の片隅にでも置いてもらえると幸いです。

 「がん」と診断された人の5人に1人が退職している


「がん」と診断されたり、治療をしている時に退職を選択する人の割合は5人に1人です。(病気の治療と仕事の両立に関する実態調査|労働政策研究・研修機構


内訳としては、自ら退職する人が最も多く、退職を勧められたり解雇されたりといった人も少数ながらいます。

 

もちろん、「がん」の部位や種類、進行度などによって状況は人それぞれ異なります。


しかし、自ら退職を選んだ人の約半数が0期やⅠ期といった転移がない状況の人たちなのです。

 

では、「がん」と診断されて退職を選んだ人たちの決断の理由を見てみましょう。

 

・仕事を続ける自信がなくなった

・治療に専念するため

・会社や同僚などに迷惑をかける

・休みを取ることが難しい

・残業が多い職場

 

非常にリアルな心境で胸が苦しくなりますね。


「がん」になりたくてなっている人なんていません。


  • それでも「がん」を患ってしまった時に周りに配慮して退職を選択する人が一定数いるのです。

 仕事をやめると収入源や人とのつながりを失ってしまう


仕事をやめること問題点は収入源や人とのつながりを失ってしまうことです。


「がん」の治療は手術をして白黒つける、といった単純なものではない場合がほとんどです。


手術ではなく抗がん剤や放射線治療、あるいはそれらを組み合わせた治療になるかもしれません。


入院治療が一段落しても定期検査や通院治療が何年も続くのが一般的です。

 

当然、治療やその後のケアにかかるお金を無視することはできません。


がん種類別の平均自己負担費用は以下の通りです。(厚生労働省医療給付実態調査報告書 平成27年度より)

 

・胃がん 184,091

・結腸がん 178,343

・直腸がん 218,311

・肝及び肝胆膵のがん 175,177

・気管、気管支及び肺のがん 192,781

・乳がん 168,148

・子宮がん 179,749

・悪性リンパ腫 274,788

・白血病 442,104

・その他がん 187,237

 

普段の生活に加えてこれだけの治療費が必要となり、治療後も定期検査や通院治療などの費用が発生し続けるのです。


お金の不安も「がん」の痛みの一つだと覚えておきましょう。

 

そして、もう一つ見逃してはならない「がん」の痛みは人とのつながりを失ってしまうことです。


アリストテレスは「人は社会的動物だ」と言いました。


普段、当たり前のようにつながっている会社の人間関係も退職してしまうと、きっぱりと縁が切れてしまうことがほとんどでしょう。


仕事をやめることで人とのつながりを失ってしまうことは苦痛につながるのです。

 

社会保障制度と会社の就業規則をフル活用する


「じゃあどうすれば退職せずに済むの?」と疑問に思われましたか?


「がん」の治療をしながら仕事を続けるポイントは、社会保障制度と会社の就業規則をフル活用することです。

 

まず社会保障制度から見ていきましょう。

 

公的医療保険には「高額療養費制度」という制度があり、年収約370770万円の方であれば1ヶ月にかかる医療費の自己負担額が約8万円で済みます。


また、「医療費控除」という制度は、一定額以上の医療費を年間で支払った場合、納めた税金の一部が戻ってくるというものです。


他にも、病気で休んでいる間も健康保険からお金が支給される「傷病手当金」や長期療養の使える「傷害年金」といった制度もあります。

 

社会保障制度は自分で申請しないと利用できないものが多いので、知らないと損をしてしまいます。


ですので、情報収集や相談が欠かせません。


インターネットでの情報収集であれば「国立がん研究センター がん情報サービス」、窓口相談であればがん相談支援センター」「各医療機関や自治体の相談窓口」「ソーシャルワーカー」の利用がおすすめです。

 

次に会社の就業規則も確認しておきましょう。


具体的には下記の点は必ず確認しておかなければなりません。

 

・治療のために使える休暇は何日であるか

・「傷病手当付加金」や「延長傷病手当付加金」が支給されるか

・休職に関する規定

・勤務形態の変更に関する規定

 

がんの告知のショックですぐに退職を考えてしまいがちですが、社会保障制度と会社の就業規則をフル活用すれば仕事を続けられる道も見えてくるものです。

 

会社の同僚に「がん」のことを告白するメリット・デメリット


業務の調整などがあるため、会社の上司に「がん」であることの報告は必要です。


しかし、他の会社の同僚にまで告白すべきかは慎重に考えたほうが良いかもしれません。

 

人によっては同僚に話すことで精神的に楽になり、身体的なサポートを得られて「助かった!」と話す方もいます。


心配されるのが嫌でこれまで通りに接してほしいと考える方は、あえて告白しないという選択肢を取る場合もあります。


しかし、体調のことを知らない同僚たちからすると、体調不良時の様子は「不機嫌なのかな?」などと余計な誤解を生みかねませんので要注意です。

 

まとめ

今回は「がん」やお金といった、思わず目を背けたくなるようなショッキングな内容だったかもしれませんね。


事前に知識を持っておくことで、いざ、あなたやあなたの大事な人に万が一のことがあった場合の精神的なショックを和らげることができます。

 

「がん」と告知されたショックでパニックになって仕事を辞めてしまい、後悔する方が1人でも減ることを願っています。


ぜひ、本記事を参考にしていただけると幸いです。

2019-07-31 19:11:47

Writer:しまづ 😎看護師ライター

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