「散らかりは豊かな心を育てる」
1980年代の終わりに、ロバート・フルガム牧師の『人生に必要なことはすべて幼稚園の砂場で学んだ』というエッセイを読んだとき、こんな一節があったのを覚えています。
アメリカ発のドラマ、Netflixの『KonMari』
ご覧になりましたか?「Tyding Up」ということで、ときめかないものは情け容赦なく捨てるこんまりメソッドがアメリカで大ブーム。
日本でももともと大ヒットしていた片付けコンサルタントのこんまりさんですが、米国ではさらに大ブレイク。背景には、アメリカが消費社会であることが上げられるのではないでしょうか。
彼の地は広大な土地であるがゆえに、家が広く、ガレージが広く、それはときにさまざまな新しい文化を生み出しましたよね。ただし、現在では都市生活者も増えているようです。伝統的に、ものがたくさんあることは素晴らしいと考えられている社会に、こんまりさんは、「量より質」「ときめき」「片付けは内面と向き合うこと」というメソッドを持ち込みました。
その背景には、社会の複雑化があるのではないでしょうか。外の社会があまりに思う通りにいかないということもありそうです。アメリカに限らず、グローバル化が進む一方で、それに反発した動きも多く、格差も広がっています。外は危険がいっぱいで、コントロールしようと思ってもどうしようもないことばかりで、不幸にも満ちているのです。
それなら、反動として家の中や心の中を整えることに関心が向いてもおかしくありません。こんまりメソッドは、自分の心を見つめて、まず心にときめきを問いかけることで、自分と向き合おうというメソッドです。
禅の思想やオリエンタリズムとも相性がよく、内心を見つめることで世界をコントロールしようという思想に行き着くことは不思議ではありません。外の世界への好奇心から、自分の心の中を見つめることに、移り変わろうとしてるのではないでしょうか。
さらに、アメリカのラジオによると、他にも理由はありそうです。格差が広がって、貧困層が増え、貧困までいかなくとも中流ちょい下のクラスの人が増えているのは、アメリカでも日本でも違いはないようです。
よって、都市部の狭いアパートに住む人が増え、なにせアメリカの都市部は家賃が高めですから、ルームシェアする人も多いと聞きます。限られた部屋の広さというリソースを最大限にいかして、せめて家の中で快適に過ごすためには、片付けが欠かせないのです。
米国で流行ったものは世界でも流行りますから、また日本にも形をかえてこんまりブームがやってくる可能性は十分あります。といっても、いまはNetflixもタイムラグがなく、ほとんど同時期に世界でブームが起きますから、ホットな息遣いを感じることができるでしょう。
Netflixの『tyding up』をみていると、アメリカの方々の熱狂が伝わってくるようです。家の中を見つめることは、心の中を見つめること。そして捨てられないということは、なんらかの過去に対して執着があるということでもあります。
そして、心の執着を捨てるよりも、部屋のモノを捨てたる方が簡単なため、こんまりメソッドは着手のハードルが低い代わりに効果が大きいとして、爆発的なブームになっているのです。
家を整えることは心の中を整えることであり、病んだ人も多い昨今では、精神統一はメンタルヘルスの向上にもつながります。『ときめく』というマジックワードを武器に世界をかけるこんまりさんの行く末に注目です。
Netflixでもっともっと、放送をみたくなりました。
Writer:namonakiwriter
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