フォッサマグナミュージアム

 新潟県糸魚川市は新潟県の西の端にある、街を歩いても人と滅多にすれ違わないそれはもう田舎ですが、地理の教科書には必ず出てくる有名な街です。フォッサマグナと呼ばれる大地溝帯の西の端、糸魚川静岡構造線(糸静線)の北端、そして世界的にも珍しい翡翠の産地でもあります。街のメインストリートにも翡翠や石の展示があり、地形や翡翠のみならず岩石オタクにとっても聖地です。

 糸魚川市までは東京から新幹線で行けるので楽勝です。駅には鉄道・鉄道模型のちょっとした博物館があり、それはそれで結構楽しいのですが本題はそこではありません。時間を取られすぎないように注意しましょう。そこから『フォッサマグナミュージアム』まではバスで行くことになりますが、私は酔狂なので歩きました。2kmくらいだったような気がします。運動公園がいっぱいありました。スポーツの街でもあるみたいです。


フォッサマグナミュージアム。ちょっと天気悪かった。

 フォッサマグナミュージアムはフォッサマグナに関するあれこれが展示されているのですが、まず最初は翡翠エリアです。糸魚川で取れたきれいな翡翠のコレクションが大量に展示されています。古代にはこの翡翠を求めて、この土地を治める奴奈川姫に対して全国から求婚が相次いだそうです。結構な難所だと思うんですが、翡翠、きれいですからね。硬いし。最近では日本の国石に指定されたそうですし。近所の川とか海とかで翡翠探し体験みたいなのもやってるみたいです。見つけた石は駅で鑑定してもらえます。そこまでやる元気は無かった。

 翡翠コーナーは「宝石の国」というマンガとコラボしていて、ちょいちょいキャラクターのパネルが置いてあったりマンガの一コマが飾られていたり。ちょうど宝石の国特別展をやってた時期だったからかもしれませんが。

 翡翠エリアが終わると、いよいよフォッサマグナの話です。フォッサマグナとはなんぞや、それはまあ日本がまだ2つの島だった時代のその間の海が埋まった部分なんですが、そういう日本列島の成り立ちの話から、「海だったから海棲生物の化石がいっぱいあるよ」という化石の展示、フォッサマグナを発見したドイツの地質学者ナウマン博士のコーナーなどがあります。ナウマン博士、ナウマンゾウとかも発見した明治時代の助っ人外国人です。山を眺めていて「日本って2つの島だったんじゃね?」と思ったらしいのですごい。

 フォッサマグナの誕生という大規模な地形の変化によって糸魚川にはいろいろな種類の岩石が表出しています。それぞれの岩石がどのようなメカニズムで発生し地表に現れたか、何故翡翠がこの場所にたくさん出てきたのか、といった巨大で壮大なお話の解説があり、だいたい2億〜1500万年くらい前の日本の姿に思いを馳せることができます。


こういうやつ。眺めてるだけで結構時間が経った。

 そして最後のお楽しみは岩石コーナー。色んな種類の鉱石・岩石が、相当な数が展示されています。展示室最後のエリア+通路という狭い空間ではありましたが、とにかく種類が多い。鉱石マニア歓喜です。小田原の『生命の星・地球博物』というデカい博物館にも石の展示は多かったですが、それに勝るかもしれない。石オタクは行きましょう。

 あとは、ちょうど行ったタイミングで先述した特別展「宝石の国展」をやっていて、普通にイラスト展示があったり、作中の登場人物(宝石)と実際の石の展示があったり。めったに見られない南極石(アンタークチサイト: 20度くらいで溶ける)も展示されてたので、ありがとう宝石の国という感じでした。

 博物館周辺には遺跡もたくさんあるのでそういうのを見ながら帰りも歩いて帰ったんですが、雨は降るし遺跡から下山する道は文明の気配がしないし十二曲がりとかいう道はもう道の体をしてないし蜘蛛の巣だらけだし雨は降るし後悔しました……。いや遺跡は良かったんですが。写真を撮る心の余裕が無かった。

 みなさんはバスで往復しましょう。

2019-11-06 12:56:18

Writer:わさび

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