サロメ。
2019年夏の実装から約2年。同期の低レアサーヴァントが活躍する中、1人だけまともな出番がなかったサーヴァント。
そんな彼女に先日、幕間の物語が実装されたのです。バレンタインイベントの内容も当たり障りのないものだったため、かくいう私も「Wサロメ攻略が面白い」ぐらいのイメージしか持っていませんでした。
が。
うわあ急にそこまでキャラを掘り下げるな!!!
ぺんぺん草も生えない荒れ地をブルドーザーでしっちゃかめっちゃかに耕すような幕間の物語。FGOは☆2バーサーカーの供給はいっぺんにやらないと死んでしまう病なのでしょうか?
特に強烈だったのが彼女のマスターである藤丸立香との関係でした。今回は藤丸立香とサロメがどんな主従なのかを中心にサロメの幕間の物語を考えたいと思います。
目次
1.英霊の座ってクソだな~サロメはどんなサーヴァント?~
2.いい子すぎる~幕間を通して~
3.藤丸立香限界メーターサロメちゃん
最後に
「首を欲しがってるぐらいしかわからない」
こういうマスターも多いと思います。なにせこれまでホントーに出番がなかったので。
まずはサロメというサーヴァントを簡単に紹介しましょう。すでに知っているサロメ推しの方は読み飛ばして問題ありません。
サロメは大本をたどれば新約聖書に登場する名もなきお姫さまです。イスラエルを治めていた領主の1人ヘロデ王の娘であり、救世主に洗礼を施したヨカナーン(ヨハネ)の殉教を招いた人物として描かれます。
具体的にサロメがどうしたかというとヘロデ王に「ヨカナーンの首が欲しい」と頼み、斬首させ、銀のお盆に乗った彼の首を受け取りました。そのショッキングな展開からか、後世ではさまざまな創作の題材にも。
なぜサロメはヨカナーンの首を欲したのか?
説はさまざまあるのですがFGOでは戯曲『サロメ』(オスカー・ワイルド)が描き、現在では世界で定着したサロメ像を採用しています。
戯曲『サロメ』が描くサロメとは、愛してはいけない人を愛して狂気に落ちた魔性の女です。
浸礼者ヨハネことバプテスマのヨハネに恋した彼女は、養父ヘロデ王が自分に焦がれている事を利用してヨハネを手に入れる。
(中略)ヘロデ王を誘惑し、ヨハネを斬首させ―――愛する者の首を得たのである。(サロメのキャラクター詳細より)
戯曲『サロメ』ではヨハネ、すなわちヨカナーンの首を得たサロメがその首に愛をこめて口づけをしました。サロメの狂気を恐れたヘロデ王が彼女の処刑を命じ、物語は幕を閉じます。
「愛した人の生首にキスをする」新約聖書からだいぶドラマチックかつインモラルに改変された戯曲『サロメ』。
これが年月をかけて広まり、サロメと名づけられた名もなき姫は"男に終わりをもたらす破滅的な女(ファム・ファタール)"の代表的存在として浸透しました。
以上がFGOサロメの元ネタとなります。ちなみにカルデアのサロメはヨカナーン=自分が持っている髑髏とちゃんと認識しており、マスターは別人だと理解しているのでご安心を。ただ好きになったらヨカナーンでなくとも首を求めるだけです。かわいいね。
ちなみにカルデアのサロメは生前は純粋な女の子だったが現界にあたり戯曲『サロメ』のラストシーンの状態で精神が固定されているとのこと。
生前には純粋な少女であったが、恋に焦がれ、狂い果てて最期を迎えた瞬間のまま精神が固定された状態で現界していると思しい。(プロフィール2)
サロメの大元は新約聖書の名無しの姫です。ヨカナーンの首を求めた動機については諸説あり、恋に狂ったサロメはいわば二次創作から生まれたイメージにすぎないはず。
サリエリやアンデルセンら無辜の怪物のように、人々のイメージからサーヴァントとしての在り方が固定されてしまったのがサロメなのでしょうか。
カルデアのサロメとは、誰かが抱いた「サロメはこういう奴だ」に翻弄されているサーヴァントなのかもしれませんね。
まとめ
①救世主の時代に預言者ヨカナーン(浸礼者ヨハネとも)の首を欲したお姫さま
②「恋に狂い聖者の首に口づけした魔性の女」というFGOのキャラづけは後世の創作に基づく
③創作物から生まれたイメージに引きずられ、狂った女として現界している?
④英霊の座ってやっぱりクソだわ
それでは幕間『耐え難きを耐えた果て』の内容を見ていきましょう。
6/23に追加されたストーリーをまとめると以下のとおりです。
①バーサーカーでありながらカルデアに馴染んでいるサロメ。その様子を不安に思ったマスターは、ふたりきりで彼女と会う
②「無理をしていない?」と聞いたマスターに、サロメは「当然している」と返す
③マスターが望むサーヴァントであるべくずっと我慢していると明かすサロメ。その理由を「マスターが無理をしているから」と語る
④「もしマスターがヨカナーンのようになったら首をもらう」と告げるサロメ
⑤「自分は聖者さまにはなれない」とマスター。最後に「あなたのままで頑張ってね?」とサロメが微笑む
サロメとマスターの関係を考えるうえで大事なのは③、④、⑤でしょう。
藤丸立香が人理のために精神をすり減らしている描写は非常に多く、案じるサーヴァントも少なくありません。
嫌になったら逃がしてやると茶化すサーヴァントもいれば、泣きたければ泣けと語るサーヴァントもいます。最近ではあまり珍しくなくなった話ですね。
サロメがこれまでと少し違うのは、藤丸立香が頑張っているからこそ彼女は我慢できている=藤丸立香が限界を迎えたらサロメも耐えられなくなる一蓮托生の関係にある点です。
サロメはヨカナーンの首に口づけをした逸話から「愛した人の首を求めずにいられない」という性質を持つバーサーカーです。聖人やそれに近しい存在が多いカルデアでは本来、かたっぱしから首を獲ろうと暴走する可能性すら秘めています。
ですが、そうはならないよう彼女自身が我慢しているわけです。
カルデアのマスターは本来あるべきだったろう人生とかけ離れた過酷な旅を続けてきました。そのサーヴァントとしてのサロメは彼/彼女の望みを叶えるために今日も耐え続けています。まるで藤丸立香のがんばりを映す鏡のように。
同時期に実装されたサリエリの幕間などからもわかるように、サーヴァントが自らの在り方に反するのは非常に難しいことです。
それでもマスターの苦難を深く理解し、彼/彼女と同じようにひたすら我慢を続けるサーヴァント。
それが幕間を通して見えたサロメというサーヴァントの内面だったのです。
まとめ
①幕間の物語でバーサーカーとしての自分を抑えていると明かされる
②我慢している理由はマスターがさまざまな困難に耐えているから
③サロメちゃんマジいい子
我慢には限界がある、とサロメはそう明かしました。
藤丸立香が駄目になる・・・・限界を迎えて精神が壊れる、あるいは限界を超えて藤丸立香と呼べない何者かになった時、サロメ自身も耐えられなくなると彼女は話します。
彼/彼女の旅を見守るプレイヤーからすれば気が気じゃありません。
わざわざ藤丸立香が限界を迎える可能性に言及したということは、この幕間はなんらかの形でその"未来"が訪れるフリではないか?
同期の低レア勢がみんなメインシナリオで活躍した以上、サロメも今後メインシナリオに登場する可能性は高いはず。
彼女が満を持して活躍するメインシナリオで、とうとう藤丸立香はある種の限界に達してしまうのではなかろうか?
とくに気になるのが「ヨカナーンのような人になったら首をもらうわ」との発言です。
▲自分は聖者になれないと答える藤丸立香に対するサロメの反応
戯曲『サロメ』においてサロメはヨカナーンに恋をしたわけですが、ヨカナーンはそんな彼女を拒絶しました。
それどころか養父ヘロデ王と不貞をはたらいたサロメの母親を侮辱し、その娘として生まれ預言者を誘惑するサロメの存在そのものを「悪」だと否定するのです。
気高い聖者としてサロメを悪女と断じたヨカナーン。そこに迷いはなく、異聞帯や失ってきた人々に悩み続ける藤丸立香とは似てもにつかない人物といえます。たとえば藤丸立香がヨカナーンのように悪を悪と断ずる、そんな救世主になった時、サロメは我慢できなくなるのではないでしょうか。
2部6章では影も形もないサロメ。登場は2部7章ではないかとの予想が最も多い状況です。
藤丸立香が限界を超えて藤丸立香でなくなる未来が待っているかもしれない。
そんな不安を抱えながら2部6章後編を遊ぶことになりそうなんですけどせめてこの幕間キャンペーン2部6章公開後に実装できなかったの運営さん?もしもし?
まとめ
①藤丸立香が限界を迎えたらサーヴァントのサロメも我慢が利かなくなる
②藤丸立香が藤丸立香でいられなくなる展開の前フリ?
③悪を糾弾するヨカナーンのような聖者に藤丸立香が至ってしまう可能性?
④やっぱりこの幕間キャンペーンいま追加するのあんまりじゃないですか?もしもし運営さん?
バーサーカーでありながらマスターのために自制する良心を持ち、同時に限界を測る爆弾でもある。
純粋な少女らしさと破滅をもたらす魔性の女としての側面を併せ持つサーヴァント。
それが幕間を通して私が受け取ったサロメというサーヴァントの魅力です。
サロメはフレンドポイント召喚で出てくる☆2バーサーカーです。どこのカルデアでも召喚できるので、もし「サロメってよく知らないから幕間読んでなかった」という方はぜひこの機会にじっくり読んでみてください。
思えば2019年夏の実装から約2年。ようやく掘り下げられたと思いきや強烈なインパクトを残していったサロメ。これで幕間のみなのだというから末恐ろしいですね。登場が有力視されている2部7章が待ち遠しくてなりません。
ところで2部7章はいつごろになるんでしょうかね?ちょっとメインシナリオのリリース間隔から推測してみましょうか。
・アトランティス~オリュンポス:約4か月(2019年12月~2020年4月)
・オリュンポス~平安京:約8か月(2020年4月~2020年12月)
・平安京~アヴァロン・ル・フェ:約6ヵ月(2020年12月~2021年6月)
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まとめ
①幕間だけでなくイベントでもサロメをもっと掘り下げてください
②できたらカルデアのみんなと安らかに過ごさせてほしい
③いいから藤丸立香とサロメがお互いに抱えている我慢を一瞬だけでも忘れられる穏やかなひと時をよこしてください
それでは今回はこのへんで。
ではまた。
Writer:ハチミツ
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