人生100年時代においても老化は避けられないものです。
厚労省によると、高齢者の4人に1人が認知症あるいはその予備軍であるとされており、認知症は介護が必要になる原因で最も多い症状です。
また、75歳以上になれば3人に1人が介護を必要とする状態になってしまいます。
平均寿命が伸びていく日本において、介護を全く必要とせずに死を迎える人のほうが少なくなってくるかもしれません。
「うちの親はしっかりしているから大丈夫でしょ!」
「まだ先のことだよね」
このように考えて、介護の準備をあまりしていないという方も多いかもしれません。
しかし、介護の特徴として以下があります。
・急に始まる
・いつまで続くかわからない
・金銭的負担が大きい
介護の基本は「情報収集」と「自己申告」であり、自分から情報を集めて、動くことが大切です。
今回は親の介護に備えるために、介護にかかる費用や期間、お金を不足させないためのポイントを説明していきます。
親の介護をきっかけにトラブルが発生し、家族同士で険悪な関係になってしまうのはよくある話です。
ぼく自身、看護師として働くなかで多くの家族間でのトラブルを目にし、やるせない気持ちになりました。
そのような事態は、事前の準備や話し合いで防げることが多いです。
ぜひ、考えるきっかけとしていただければと思います。
まずは介護にかかる費用や期間を見ていきましょう。
介護費用の平均は月7.8万円、初期費用に69万円、平均期間は4年7ヶ月(54.5ヶ月)であるとされています。
(生命保険文化センター/「生命保険に関する全国実施調査」/平成30年度より)
介護される人の状態や利用するサービス、介護期間などによって大きく数字は変わりますので、あくまで目安程度にしておくとよいでしょう。
費用の総額を計算してみると…
7.8万円×54.5ヶ月+69万円=494.1万円
なんと!500万円近くのお金が必要なのです!
もちろん、いきなり500万円の総額を準備しなければならないわけではありませんが、頭に入れておかなければならない数字であることには違いありません。
では、介護には何故そんなにもお金がかかるのでしょうか?
介護費用の内訳も確認しておきましょう。
まず、自宅で介護をしやすいようにリフォームしたり、介護ベッドや車椅子といった介護用品を揃えたりするお金が初期費用として発生します。
リフォーム(住宅改修費)や介護用品の購入(特定福祉用具販売)は介護保険から一定額の給付金が受けられます。
老人ホームや介護施設に入所する場合、ほとんどの施設で「入居一時金」が必要です。
入居一時金は施設の機能やグレード、公的または民間であるかによって、数万円~数千万円と非常に大きく金額に幅があります。
ここまでが初期費用の内訳です。
次に毎月かかる費用を見ていきましょう。
施設入所している場合は月額利用料金、家で介護しており何らかの介護保険サービスを利用していればその料金が発生します。
これが毎月必要となるお金です。
これらの料金は介護保険が適応される範囲では、支給限度額までは1~2割負担という非常に安価で利用することができます。
支給限度額は「要介護状態区分(要介護度)」によって決定され、これによって介護費用は大きく左右されるのです。
介護費用を大きく左右する要介護状態区分は、「要介護認定」という調査によって被介護者(介護される人)が8段階で判定されます。
(詳しい判定方法は厚労省HP「要介護認定はどのように行われるか」参照)
要介護度は判定が1段階変わるだけで支給限度額が月に5万円ほど変わってきますので非常に重要です。
実は要介護認定には適正に行われるコツがあります。
それは、市町村区の担当者が来た際に家族も面談に同伴することです。
というのも、被介護者は認知機能の衰えを不安に感じるものなので、担当者に対してしっかりとした自分を見せようとする傾向があるのです。
身の回りのことや認知機能に対する質問をされると、本当はできなくても「できます!」と言ってしまいかねません。
できないことでも「できます!」と言ってしまうと、判定が軽くなってしまい、本来必要であった介護サービスも受けられなくなるという弊害があります。
ですので、ご家族も面談に同伴し、被介護者の気持ちに配慮しながら担当者にありのままの普段の様子を伝えることが大切なのです。
逆にずる賢い被介護者が面談の時だけ心身の状態が悪化したように演技をして不当に高い要介護度を得るケースもみられます。
金銭面では得するかもしれませんが、介護者や医療者にはバレバレで非常に心象が悪くなりますので止めておきましょう。
では、いかに介護費用を準備するかについてですが、基本的には被介護者の資産や年金を切り崩していきましょう。
それでも足りない分を親族で補っていくというスタンスが良いです。
親のお金に手を付けることに抵抗がある方もいるかもしれません。
デリケートな問題ですが、親も子どもにできるだけ迷惑をかけたくないという心境なのではないでしょうか。
いずれにせよ、普段からのコミュニケーションを大切にし、有事の際の話もしておきたいものです。
被介護者の資産や年金を把握することで、介護に使えるお金も見えてきます。
また、介護にはお金だけでなく、多くの時間とエネルギーが必要となります。
不足する場合を想定しあらかじめ親族で役割分担をしておきましょう。
仕事が忙しくてあまり介護に参加できなさそうな人には多めにお金を出してもらう。
お金があまり出せそうにないという人には、その分時間やエネルギーを割いてもらうなど、不公平感がないように役割分担することが大切です。
介護の負担が誰かに集中してしまうと親族間でのトラブルに発展してしまいます。
そのような事態で最も悲しむのは被介護者です。
親族で手を取り合って介護に臨んでくださいね。
しまづ@看護師ライター(@shimazu26)でした。
Writer:しまづ 😎看護師ライター
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