気に入られるスキル

 

 

こんにちは、まぐですhttps://twitter.com/magu_writerWebライターになる前は、ど田舎にある新聞社で校閲として働いていました。私が働き始めてちょうど1年後、九州から20代後半の青年が転職してきました。今回はそんな彼の話です。

九州からやってきたジョブホッパー

田舎では大手企業の部類に入る新聞社ですが、記者というのは田舎の職業の中でも安月給の部類なのでいつだって人手不足です。しかしある日突然、九州の同じくらい田舎の町から20代後半の、記者として活躍したいという夢を持つ若者が転職してきました。仮に飯田さんとしましょう。

飯田さんは記者になりたかったものの地元で職を転々としていて、ある日たまたまハローワークで全国で「記者」を検索にかけたらうちの会社がヒットしたからうちにやって来たと。なかなかの行動力です。そしてうちの専務はこういう青年が大好きです。

飯田さんはすぐに周りと打ち解けて、記者としての仕事も楽しみながらこなしていました。

新人がやってきた

そんなこんなで2年以上たったある日、専務のコネで入って来た30代後半の男性、菊池さん(仮)が記者として入社してきました。田舎ではコネ入社が割と主流です。そして菊池さんの教育担当として飯田さんが抜擢されました。

最初はうまくやってそうだったんですよ。しかし徐々に菊池さんの暴走が目立ってきます。記者の仕事として一番大事ともいえる取材が下手だったんです。

聞き出すのが苦手なのか、取材に行ったはいいものの肝心の要点がわからない、何を伝えたいのかわからない記事を量産してしまいます。しかし編集長から怒られるのは飯田さんと菊池さん。

肝心の菊池さんは怒られても全然気にしないタイプなのか反省の色はなし。そんな彼にどんどん飯田さんの心は壊れていきます。

爆発してしまった感情

時間はちょうど12時前。その日もいつものように編集長からお叱りを受ける飯田&菊池ペア。長いお叱りの後に席に着く2人。

菊池「お昼行ってきます!」

その瞬間、飯田さんが菊池さんの胸倉をつかみました。周りも菊池さんもポカーン。胸倉をつかみながら今までの不満をぶつけまくる飯田さん。周りはあまりにも突然の出来事にポカーン。このとき社員は皆心の中で(今年一番の事件だ)と思ったに違いないはず。

一通り不満をぶつけ、机に突っ伏してしまった飯田さんは、その後定時までそのままでした。この日を境に菊池さんは会社に来なくなり、飯田さんもあまり笑わなくなってしまい編集部内にはあまりよくない空気が流れ始めます。

お気に入りなら大丈夫!

しかしある日突然、飯田さんが北海道では割と大手の新聞社に転職することが決まります。事件のことを聞いた専務が動いたのです。飯田さんと専務の間にどんなやり取りがあったかはわかりませんが、飯田さんはコネでうちより好条件の新聞社に入社できることが決まったのです。

うちの会社では専務は絶対的な存在でしたので、専務にさえ気に入られればどうとでもなるのです。飯田さんが転職すると聞いたときも社員は誰一人としてびっくりしませんでした。だって専務のお気に入りですもん。

 

結局は誰に気に入られるかにかかっているのだと思い知らされる出来事でした。飯田さんはうちに来て最終的には心が折れてしまったけど、上司に気に入られるというスキルを持っていたおかげで今より上流に行きました。

 

仕事ができるだけでは、私が働いていた新聞社では生き残ってはいけないみたいです。

2019-07-12 11:51:49

Writer:magu_writer

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