“最後のもちもの“を売ることにした日の話

 いまから8年ほど前、私は持病を発症して職場を首になりました。お金はなく、雇用もなく、生涯付き合っていかなければならない持病を抱えて、解雇。「もうちょっとだけ、職場にいさせてほしい」と平身低頭頼みましたが、非情にも首。

 

途方に暮れて、どうしたらいいかわかりませんでした。何もかも失ったと思っていたけれど、そのときまだ私にはひとつの武器が残されていました。それが、インターネットが好きってこと。それが、仕事を失い、お金もない私に残された最後のもちもの。

 

インターネットは楽しんでナンボ。困窮した私は、それを仕事にすることにしました。禁忌をおかしたのです。そうなると、ネットを無料で楽しんでいる人たちからは反発を受けます。それを織り込んだ上で、それでも最後のもちものを売ることにしたのです。

 

何があってもインターネットで商売はしなかった

 

1997年にはじめてパソコンを買った私は、いわゆる“インターネット老人会“の一員です。かなり古くからネットをしていました。大昔のヨッピーさんのブログも読んでいたし、先行者の侍魂やノマネコ騒動も見てきた、かなり古い世代です。

 

それまでずっとインターネットで商売することは避けるどころか、考えてもみませんでした。“嫌儲“とまではいかなくとも、もっとネットでは他の楽しいことに夢中になっていたから。ずっと匿名で、ずっと孤独に、ネットにつながってきたのです。

 

現実逃避の先に

 

今も昔も、私は現実を丁寧にいきるのが苦手です。いつも夢をみているし、いつも「本当の人生はこれからはじまる」と考えているような気がします。そんなふわっとした私は、うまく現実との折り合いがつかず、統合失調症にまでなってしまいました。

 

退院後、ランサーズという存在を知った私は、タスクをポチポチやっていました。その頃はまだ不安でした。タスクだけじゃ暮らしていけないし、しんどい頭と体をひきずって、また働かなくてはならないのかなと。

 

しかし、ついに「本当の人生はこれからはじまる」の日が来たのです。タスクをポチポチしていたら、メッセージが来て「プロジェクトで本格的にやってみませんか」との誘い。まさに、その日から本当の人生がはじまりました。

 

その瞬間から、私がもっていた最後のもちものーインターネットが得意で、大好きだと言うことーを売って暮らす日がはじまります。でも後悔はしていません。私はインターネットを愛し続けた結果、愛されたのです。

 

 

2020-05-29 04:49:58

Writer:namonakiwriter

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