「庶民」って言葉がつくと、好感が持ちますよね。
しかし、私は「庶民」という言葉が嫌いです。
正確には、税務署に勤めてから庶民が大嫌いになりました。
「庶民」は自分を正義にする絶対無二の言葉
税金を喜んで支払う人はいません。
税務署の職員も税金を支払いますので、税金を1円でも安くしたい気持ちはわかります。
しかし、法律上ムリなものはムリです。
そもそも、1円も所得税を支払っていないのに還付金が発生するわけがありません。
(還付金は多く支払った税金が戻るだけです)
そんな(所得税は納税していないけど)納税者限って使う言葉がありました。
「われわれ庶民は~」です。
一般的に庶民は国民大多数を指します。
選挙であれば、数に勝る庶民が富裕層に負けることはありません。
つまり、「自分たちが与党であり、与党の意見を聞けないのはどうかしている。」
「われわれ庶民」には、そんな意味が含まれています。
1億円の相続財産を持っている人も庶民
税務署職員時代に、私は相続税を担当する部署で働いていました。
相続税は、相続財産がたくさん無いと、支払う必要がない税金です。
相続税を支払うことになる人は、亡くなった人の6~8%程度です。
相続税を支払う存在になる人は、国民の上位10%以内に属する人達なのです。
しかし、そこに異議を唱える人がいました。
そう、「庶民」です。
税務署の相談対応で、数多くの相談対応をしました。
その中でも印象的だったのが、相続財産が1億円ある人が「われわれ庶民がなんで相続税を支払わなければいけないんだ」と発言したことです。
1億円も相続財産を持っている人に相続税を課税しなかったら、誰に課税する税金なのでしょうか。
相続財産を1億円以上持っている人は、1%程度です。
「1億円も遺産があるのに庶民って発言するのってどんな感覚なんですか?」
直接言いかけたことは何度もありました。
しかし、実際に言ったことは1度もありません。
庶民に楯を突いて、生きて帰れる保証はありませんので。
自称庶民ほどキチンと納税する意識が欠如している
私は曲がりなりにも10年以上税務署で働いていましたので、適正公平な課税の意識は持っています。
石を投げられる覚悟でいいますが、富裕層の人のほうが圧倒的に納税意識が高いです。
確かに高額脱税事件は高額所得者がやらかします。最近ですと、青汁王子が有名ですね。
しかし、確定申告の現場に立つと、庶民のほうが脱税意識が圧倒的に高いことを目の当たりにします。
富裕層は、そんなことは言いません。
(確定申告は税理士に依頼してますが)
庶民は、権利意識は高いですが、義務意識はとても低いです。
礼儀正しい客と、失礼な客がいた場合、どちらに接客をしたいですか。
言うまでもありませんね。
ただ、公務員と民間企業では明確な違いがあります。
公務員は、お客様を選ぶことができない職業だということです。
参考にならない程度のご参考に…
Writer:矢駒(ヤコマ)元税務署ブロガー兼ライター
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