私は元税務署職員であり、元国家公務員です。
10年以上働いてきましたので、同期含めて多くの職員が退職するのを目の当たりにしてきました。
退職する理由は人それぞれですが、公務員の職場に良いイメージを持ったまま辞める人はほとんどいません。
そのため、元公務員の話はいつも元同僚に厳しい発言が多くなります。
まず公務員になる人は、「公務員になりたい!」と思って就職試験を突破して職員になります。
民間企業ならコネや中途採用もありますが、公務員に就職する際は(多分)それらのケースは存在しません。
つまり、公務員になる人の99%は、自らの力で公務員への道を切り開いた方々です。
となれば公務員は自分の希望通りの就職先ですので、期待に胸が膨らんだ状態で働き始めるのが自然の流れ。
その姿はまさに冒険をスタートする主人公一向です。
しかし、そんな希望に満ち溢れた場所から闇落ちしてしまうのが、公務員の悲しいところです。
当たり前と思うかもしれませんが、公務員に就職する動機で多いのは間違いなくお金などの待遇面であり、仕事内容で選んでいる人はほとんどいません。
実際、私は税務署を「ガシガシ計算する場所」程度の認識しかなく、マルサの存在すら就職する直前までぼんやりとしか知りませんでした。
ただ、そんな人間が就職する場所なので、採用されてからの数か月間で徹底的に「公務員とはなんぞや」を叩き込まれます。
平たい話、「公務員は社会全体の奉仕者である」精神を植え付ける作業です。
やり方の良し悪しは別として、その精神は割と浸透しますので、どんなに仕事の能力がない公務員でも8割くらいの人は正義感を持って仕事をしています。
なので、世間のイメージよりも公務員はずっと真面目に奉仕しているのです。
(ただし、それが社会に貢献できているかは別問題)
そんな公務員は社会全体の奉仕者として働きますが、実際に対応する人は全体像ではなく、国民一人一人の人間です。
となると現場の公務員は、破天荒な人や気の毒な人まで幅広く対応しなければなりません。
そんな状況で辛いのが、個人的に救済してあげたい人を救えない状況。
どんなに困難な人でも、税金をオマケすれば便宜を図ったことになるので、忖度が判明すればその公務員は最悪クビになります。
そのため、公務員として働いている以上、目の前で苦しんでいる姿をそのまま見届ける機会も1度や2度ではありません。
そして、そんな状況に苦悩してしまうのが、特に正義感が強い職員。
正義感が強い職員だからこそ、公務員のやるせなさに幻滅し、(公務員サイドからすると)民間へ闇落ちしてしまうのです。
そんな民間(フリーランス)に闇落ちした私の場合、税務署を退職して戻りたいと思ったことは1度もありません。
ただ、公務員を退職した人によっては後悔している人もいるはずです。
マンガの世界なら、闇落ちした仲間がまたパーティーに戻るのは一種の「お決まり」ですが、公務員の場合には元の職場に戻ることはできません。
厳密な話をすれば、採用試験をまた受験すれば不可能ではありませんが、もう一度イチからスタートする気力はないでしょう。
なので、ここまでお読みいただいたあなたが万が一公務員であり辞めようか考えている場合には、もう一度辞める理由を見直してみてください。
参考にならない程度のご参考に…
Writer:矢駒(ヤコマ)元税務署ブロガー兼ライター
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