こんにちは、矢駒(@chibayakoma)です。
ニュースなどを眺めていますと、脱税事件で逮捕される情報が流れてきます。
2019年ですと、『青汁』がキーワードですね。
脱税は違法です。
窃盗犯が、「俺意外にもっと窃盗しているやつがいるぞ!」と言っても納得する人はいません。
しかし、Twitterを除くと、「この金額で逮捕はありえない」、「見せしめ逮捕だ」など、脱税を捕まえた方が悪のようなツイートが流れてきます。
特に見せしめ逮捕の意見は結構ありましたし、その考えに間違いはないでしょう。
ただ、現役国税職員の口からは言えませんので、元税務署職員の私が代弁します。
日本の納税システムは、申告納税制度です。
法律で、自主申告・自主納付の規定が存在します。
❝国税通則法
(国税についての納付すべき税額の確定の方式)
第十六条 国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。
一 申告納税方式 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
二 賦課課税方式 納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。
2 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。
一 納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式
二 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式❞
申告納税方式の最大の欠点は、全員が自主申告をするとは限らない点です。
しかし、現実問題として、国税組織が申告書を作成するのは不可能。
100、1,000人の規模ならいいですが、所得税の申告だけでも年間2,000万件以上提出されます。
国税庁の職員数は、5万人です。
所得税を担当する割合は3割程度なので、2万人の職員で個人の申告担当をすることになります。
現状でも、2万人で2,000万件の申告書の処理をしつつ、無申告の納税者を捕まえなえなければなりません。
確定申告期間にCMやネット広告で広報するのは、広告宣伝費にお金を使った方がまだ安上がりな現実があるからです。
自主申告・自主納付制度の欠点は、申告納税をしない(誤魔化す)人出ること。
多数の人は、適切に申告をしますが、どうしても良からぬことを考える人が出てきます。
そこで登場するのが、見せしめ逮捕です。
警察官が、一時停止違反を見張っているシーンを見かけますよね。
「〇〇の場所は警察官がよくいる」、「17時前後に通過する時は要注意」
住民同士で注意喚起をすれば、一時停止違反をする人は減少します。
でもよくよく考えると、9割以上の時間帯で、その場所に警察官はいません。
逆に考えると、9割以上の確率で一時停止をミスしても捕まらないのです。
それなのに、一時停止をするのは、、「もしその場所に警察官がいたら捕まる」との牽制効果があるから。
脱税事件も同様です。
どんなにあからさまであっても、気になった時点で見せしめ逮捕の価値があることを証明しています。
何度も同じことを言って恐縮ですが、脱税は違法です。
節税・脱税を混同する人がいますが、節税は合法です。
税務署が節税に文句を言わないのは、節税が法律上適切に行われている行為だからです。
それに対して、脱税は法律を犯して行っている行為。
1億円納めていようが、10億円納めていようが、違法に税金を逃れる行為をしたらOUT。
納めた額が多ければ、脱税を見逃すのであれば、「1万人の命を救ったヒーローなら1人の命を絶やしてもOK」との理屈と同じです。
そんなの良いはずがないですよね。
脱税事件は看過できませんが、富裕層の嘆きもわからなくもありません。
税金面だけを考えれば、納めた金額が多くても公共サービスの質が上がらないのは不条理です。
それでも、富裕層の多くは、大勢の国民が一定以上の水準の生活があるから、富を築けているとの自覚がありるので、納税意識が高いです。
しかし、成り上がりで富裕層になった人は、庶民感覚が抜けていません。
「自分だけが良ければ精神」が、脱税行為をする心理です。
ちなみに、脱税事件の逮捕に脱税額の設定は存在しません。
極端な話、1万円の脱税でも逮捕される可能性はありますので。
参考にならない程度のご参考に…
Writer:矢駒(ヤコマ)元税務署ブロガー兼ライター
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