こんにちは、矢駒(@chibayakoma)です。
税務署職員時代に大変だったのが、確定申告書の内容確認。
多い日には1日100件200件の申告書をチェックしていたので、生涯で1万人以上の申告書を見てきました。
1万件見た中には、富裕層から年金暮らしの人まで、多種多少申告書がありました。
ただ、正直な話、節税価値の低い申告書が非常に多かったです。
節税のために確定申告しているはずが、実はほとんど得していない(むしろ損)人ばかり。
あまり「節税」の言葉に、踊らされてはいけません。
民間サイトでは教えてくれない、節税の意味をご説明します。
そもそも、なぜ節税をするのでしょうか。
家計からの支出を減らすためですよね。
税金の支払いは、家計の支出一つです。
税金を安くすることは節約になりますが、節税のためにお金を使っては本末転倒です。
保険レディの謳い文句で「保険料の支払いは生命保険控除になる」がありますが、保険に加入しなければ保険料を節約できます。
今ある状態で、税金を安くできるのが節税です。
節税のためにお金を使っていいのは、お金が余っている人だけですので。
医療費控除は、年間10万円以上の医療費の支出があると、所得控除の対象になります。
一見、節税効果があるように見えます。
しかし、医療費控除をしても、大した節税効果はありません。
所得税の最低税率は5%です。
課税価格が195万円以下の人が対象ですが、独身者なら年収350万円くらいまでの人は税率5%の計算になります。
(タイトルの45%は、世帯所得が400万円以下の割合です)
年間で医療費を15万円支払っても、大した節税にはなりません。
<計算例>
支払った医療費・・・15万円
課税税率・・・5%
15万円(医療費)-10万円=5万円(医療費控除額)
5万円×5%(税率)=2,500円
医療費を15万円支払っても、所得税を2,500円しか節税できません。
2,500円の還付を受けるために、税務署に行くなら、交通費と作業時間が必要です。
交通費と労働時間を考えれば、2,500円の還付は割に合いません。
むしろ、医療費控除のために確定申告した方が損する場合もあります。
節税は、高額所得者のためにあります。
所得制限のある控除もありますが、基本的に課税される税率が高い人ほど、節税効果が高いです。
同じ50万円の控除でも、課税される税率が違えば、節税効果は歴然です。
<課税される税率が5%と45%の場合>
所得控除額50万円
50万円×5%=2万5千円
50万円×45%=22万5千円
同じ50万円の控除でも、節税できる金額には20万円の差が生まれます。
所得税の他にも、復興特別所得税や住民税にも影響しますので、同じ節税でも高額所得者の方が得なのです。
もっとも、高額所得者はその分、高い税率で税金を支払っているのを忘れてはいけませんが。
収入が少ない人の、所得税率は5%です。
節税対策をしても、還元される税金は5%のみ。
お金を貯めたいなら、節税を考えるよりも収入を増やしたほうが楽です。
1,000円の税金を節税するためには、2万円分の所得控除が必要です。
1,000円なら、1時間バイトをしても同じです。
バイトなら、働いた時間だけ収入が増えます。
節約を考えるなら、支出だけではなく収入にも目を向けましょう。
働いて収入を増やしたほうが、国としても嬉しいですので。
参考にならない程度のご参考に…
Writer:矢駒(ヤコマ)元税務署ブロガー兼ライター
HomePagehome Twitter